会長挨拶

会長就任のご挨拶

 

会長吉永和正 第32回年次総会での決定により令和4年7月1日より兵庫腎疾患対策協会の会長に就任しました吉永和正です。1994年に幹事として当協会に参加させていただくようになり、守殿貞夫前会長(現名誉会長)のご指導のもと、2017年より副会長を担当させていただいていました。
 私自身は専門領域が救急医療で、臨床の現場で脳死症例に遭遇することが多々あり、1984年から兵庫医科大学病院で献腎移植に携わる機会ができてきました。当時は救急医療の現場に臓器提供への理解がまだほとんどありませんでしたが、実際に献腎に立ち会ってみると、潜在的なドナーは決して希なものではないことが分かってきました。そのような中でなぜ献腎は増えないのであろうか、どうしたら理解が得られるのであろうかということを考えるようになり、その後の私の医師としての課題であり続けています。協会へ参加するようになって、救急医の立場から「臓器提供を増やすためには」ということで協力させて頂いています。
 これまでの私の協会における活動は限られていますが2点だけお伝えしたいと思います。第一は柳田邦男さんをお招きして1997年7月12日に神戸で「いのちを救うとは」という題名で講演をいただいたことです。ご自身の息子さんを脳死を経てなくされた経験から「2.5人称の死」を提案されていました。医療者としてとても納得のできる話でした。
 第二はスペインのTPMへの派遣事業です。スペインは人口あたりの臓器提供率が世界最高レベルを維持していることが知られていましたが、医療現場に応用できるTPM:Transplant Procurement Management という教育プログラムの影響が大きいと考えられていました。そこで協会からこの研修に臓器提供に関わる現場の人材を派遣しようということになり、2009年より派遣を開始しました。2009年から2015年の間に10名(救急医6,内科医2、看護師1、検査技師1)を派遣しまし、帰国後彼らは兵庫県を中心に研修会などを通じて救急現場の人材育成に関わってきました。一部の方はその後、全国の臓器提供推進に関わる人材に育ってきています。
 24年間、会長として協会を引っ張ってこられて守殿名誉会長のご業績にくらべれは微々たるものですが、協会の発展に尽力したいと考えています。先にも述べたように私自身は「腎疾患」の専門科ではありませんが、守殿名誉会長、坂井瑠実副会長のご支援をいただきながら活動を開始したいと考えています。
 コロナで2年以上活動が停止していましたが、やっと社会が動き始めました。協会も今後はもとの活気を取り戻したいと思っていますので、皆様のご支援をこころよりお願い申し上げるしだいです。

兵庫腎疾患対策協会 会長 吉永 和正